Concept

 ヘッドホンアンプの仕様はメーカー毎、メーカーは同じであってもモデル毎にそれぞれ異なります。例えば低消費電力多機能コンパクトモデルであったり、AC100V電源を使用したハイスペックモデルだったり様々な商品コンセプトが存在します。

 

 M-01は、据置型ハイエンドオーディオアンプの設計アプローチのまま音質最優先でコンパクトにまとめたアナログハイエンドポータブルヘッドホンアンプです。

 オーディオルームに縛られていたハイエンドオーディオ再生環境を、自宅のリビングや寝室、空港のロビーや機内、新幹線の座席等に拡大する事が可能になります。


コンパクト化のアプローチ

 M-01は、82x24x104mmと決して小さくはありませんが持ち運び可能なサイズです。しかしコンパクト化の為に、敢えて小さな部品に置き換える等の作業は一切していません。どの様にしてコンパクト化したのか説明します。

① 調整回路一切排除

 策無く調整回路は省けません。M-01は一台毎に全ての部品を測定し、部品の特性が基準内に納まる様に選別してから製造します。特に左右チャンネルで対になる部品は差が最小になる様にペアマッチングさせます。

 これはメーカー試作機のマスター品を製作する時と同レベルの作業で、この方法で大量生産は絶対出来ません。

もちろんM-01も大量生産出来ませんが、高音質とコンパクト化の両立のために実施しています。

 効果は、部品削減によるコンパクト化と回路のシンプル化、基板内配線長最小化による音質劣化抑制に多大に貢献しています。

② ボリュームレス

 オーディオルーム外でハイエンドオーディオを再生するならば、おのずとプレーヤーはポータブル型になると考えました。

その時に気になるのは、ボリュームの2段掛け(プレーヤーとアンプの両方にボリュームがある)になります。

 

 理屈上は、プレーヤー側のボリュームを最大(フルビット再生)にし、音量はアンプ側で調整するのがベストですが、現実はプレーヤーをボリュームを最大で再生するとプレーヤーの歪率が悪化します(プレーヤーも最大出力獲得のために頑張っていて、ボリュームを少し絞った位置がベストである事が多い)。

 試聴及び測定結果より、プレーヤーで音量調整しアンプはボリュームレス(ボリューム最大ではなく部品が無い状態)が最も良い音質でした。その様な実験結果よりM-01はボリュームレスとしています。

 効果は調整回路一切排除と同じくコンパクト化と音質劣化抑制に多大に貢献しています。

③ バッテリーレス

 欲しいだけ電気が使えるアンプは、省エネ設定のアンプと聞き比べると明らかに音質が違います。アナログアンプでA級、AB級、B級と言われている部分がこれに当たり、具体的には無信号時に出力段のトランジスタに流す電流の量(アイドリング電流)の違いになります。

 

 M-01は音質最優先のコンセプトであるため、消費電力の制約から解放するために、バッテリーは潔く内蔵しない方針にしました。

M-01は、音声信号0~35mW出力範囲でA級動作(32Ω負荷)する様に設定しています。消費電力は約2,000mWのまま一定で、約6割がアイドリング電流として消費されます。

 

 バッテリーを内蔵しない代わりに、5VのUSB電源(1A以上)が使える様にM-01内部にDC-DCコンバーターを内蔵しています。大容量のモバイルバッテリーや、近くにコンセントがあればスマホのバッテリーチャージャーも使用可能です。副産物的にバッテリー劣化 ≒ 製品寿命も防げます。


断捨離に対するリカバリー

 音質最優先でコンパクトにするために①~③の断捨離を決行しましたが、使い勝手が悪かったら意味がありません。以下にリカバリー内容をご紹介します。

 

ボリュームレスに対するリカバリー

 M-01を高能率(高感度)イヤホンの組合せで使うと、プレーヤーのボリュームを絞っても結構大きな音量になります。その様な状況に対応するためにゲイン(信号増幅率)切替スイッチを設定し組合せの自由度を拡大しました。

 

バッテリーレスに対するリカバリー

 M-01の回路は電圧12Vで設計しています。とはいえ家の中ならともかく旅行等に12VのACアダプターを持ち出すのは嫌です。スマホ用のACアダプターなら旅行の時は必ず持ち歩く物なので、M-01はスマホ用のACアダプターが使える様にDC-DCコンバーターを内蔵しました(スマホ用モバイルバッテリーも使えます)。

 DC-DCコンバーターは5Vを約11Vに昇圧します(ノイズの関係で少し設定電圧を下げています)。専用設計なので当然サウンドチューニングしており、自信をもってお勧め出来る音質に仕上げています。

 

 と書きながらも更なる音質向上を目指すと、いつかはDC-DCコンバーターがボトルネックとなり12V電源を直結したくなります。

そういう時のために後部にDC-DCコンバーターをバイパスし増幅回路に電源を直結するDC-Direct入力端子を設けました。

辻褄が合ってませんが、更なる高音質化のアプローチとしてご理解ください。▶M-01の電源について


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